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ロマン・ポランスキー
日本でもニュースになっているとは思いますが、32年前に13歳の少女への性的虐待を行った罪でロマン・ポランスキー監督が9月26日にスイスで逮捕・拘束されて以来、ハリウッドのセレブが続々と彼の擁護に回り、釈放の要求を行っています。(こちらはそのリスト。)

その主な理由は、

1) 彼自身、大きな悲劇を乗り越えてきた。もう充分に苦しんでいる。
2) 芸術に多大な貢献をしてきたかけがえのないアーティストである。
3) 被害者の女性ももう許すと言っている。
4) ほんとのレイプとはいえない。若気の至り。ちょっとした過ちだった。

ロマン・ポランスキーの映画監督としての才能の素晴らしさはもちろん認めるし、幼い頃にホロコーストを体験しそれを生き延びたことも、アメリカ犯罪史上最も残虐な事件で奥様を失われたことも、ご本人以外の方にとっては想像もつかない悲劇だとは思います。

被害者の女性の方も、これ以上は事件と関わりたくない、として起訴を取り下げる要求を行っていて、ポランスキー監督が2003年に『戦場のピアニスト』でアカデミー賞を受賞した時も、受賞を差し止めるべきではない、というコメントを出しておられたそうです。( LA Times

その彼女のコメントは正確には、

"I don't really have any hard feelings toward him, or any sympathy, either. He is a stranger to me,"
「彼を恨んではいないわ。同情もしていないけれど。彼は私にとって赤の他人よ。」

私にはこのコメント、単純に「ポランスキー監督を許す。」と言ってるようには聞こえません。もっと厳しい言葉だと思います。

その被害者の方の発言を盾にとって、ポランスキーの擁護に回った「アーティスト」や「知識人」の発言中、あまりにも酷かったものがNY Timesに挙げられていました。

ウーピー・ゴールドバーグ: 
「レイプっていうようなレイプじゃなかったはず。そうじゃなかったはずよ。」
"I know it wasn't rape-rape. It was something else but I don't believe it was rape-rape."

ベルナール・アンリ・レヴィ: 
「多分彼は若気の過ちを犯したかもしれない。」(当時ポランスキーは43歳。)
“perhaps had committed a youthful error.”

ハーヴェイ・ワインスタイン: 
「その“犯罪と呼ばれる出来事”については、もう充分罪を償っている。」
“about the so-called crime, Polanski has served his time.”


こういう発言をする人達は読んでいないのかもしれないですけど、実際の大陪審での記録がこちらで読めます。

これを読んでこの被害者の少女に向かって、「レイプされたわけじゃないでしょ?」と言える人の気が知れません。

一部だけ抜粋(要訳)してみます。

質問者: 「あなたの性器に口を付けて彼はどうしましたか?」
被害者: 「ただ舐めていたわ。良く分からない。私は泣きそうだったの。“いや。お願い。止めて。”って。とても怖かった。」

質問者: 「あなたが酔っ払っていたと思う理由は?」
被害者: 「何があったかやっと思い出せるくらいだったから。」
質問者: 「他に理由は?」
被害者: 「フラフラしてたの。焦点が合わない感じで。歩いたりするのもやっとだった。」
(ポランスキーは被害者の少女にアルコールと薬物を同時に与えていた。)

質問者: 「挿入したとはどういう意味ですか?」
被害者: 「私の性器に彼のペニスを入れました。」
質問者: 「その前にあなたは何か言いましたか?」
被害者: 「“いや、止めて。”そう繰り返しました。でも激しく抵抗するのは無理だった。だって他に誰もいなかったし、逃げ場がなくて。」
(ポランスキーはモデルとして写真撮影をするという口実で、少女の母親の同行を断り、彼女を友人であったジャック・ニコルソンの邸宅に連れ込んでいた。)

質問者: 「それから何があったのですか?」
被害者: 「避妊用のピルなんて飲んでいないと言ったら、じゃあ中で出さないようにするって言いました。そしたら…私…いえ彼が…待って。そしたら彼が私の足をうんと持ち上げて、お尻に入れたんです。」


この事件で、子供へのドラッグの使用、ソドミーを含むレイプなど、彼が最初に起訴された罪状は実に6件。

これに対し、ポランスキー監督は司法取引により、「子供への違法な性行為」“unlawful sexual intercourse”のみ罪状を認めています。

ただ司法取引で合意したよりも重い実刑を受ける可能性がある、と判断した時点で、彼は旅行先のイギリスからアメリカに戻らないことを決め、イギリス当局がアメリカへの身柄の引渡しを行う可能性があると知ると、そのままフランスに渡り、そのままフランスの市民権を取って30年以上、アメリカの司法当局から逃げ続けました。

そしてこの事件から約1年後の1978年に、彼がインタビューに答えたコメントがこちら

“If I had killed somebody, it wouldn’t have had so much appeal to the press, you see? But… f―ing, you see, and the young girls. Judges want to f― young girls. Juries want to f― young girls. Everyone wants to f― young girls!”

「もしも僕が誰かを殺したとしたら、これほどメディアに騒がれなかったはずだよ、分かる?でもやるってなると、それも若い女の子となると…。判事だって若い女の子とやりたがってる。陪審員だって若い女の子とやりたがってるんだ。皆ほんとは若い女の子とやりたがってるんだよ!」


前にも書きましたけど、子供を性的に虐待するような人間を「モンスター」と呼びます。(ケダモノという言い方は動物に対して失礼。)

自分のしたことをこれっぽっちも悪いと思わず、悔いてもいないこのコメントのキ○ガイ振りには唖然とするしかありません。


私はポランスキー監督の映画が好きでした。

『戦場のピアニスト』を見た後、アカデミー賞の受賞式に来られない理由を聞いて、でもその時はきちんと調べたわけじゃなかったので、漠然と高校生くらいの子と合意の上でセックスしたのかと思っていたんです。

でも事実は完全なレイプ。

例え彼自身がどんな悲劇を乗り越えてきたとしても、どれだけ素晴らしい作品を作れるアーティストであったとしても、

レイプはレイプ。犯罪は犯罪。


ポランスキー監督。

アメリカ市民である私は、あなたのお帰りを心から願っています。

ぜひカリフォルニアの法廷でお会いしましょう。
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コメント
この記事へのコメント
こんにちはー。これ今朝、民放でやってました。
ポランスキー・・・。
といって真っ先に思い出すのが『赤い航路』。(^^;)面白かったんですけど、この監督ヘンタイさんねって思ってました。

無知なのにコメントして恥ずかしい限りですが、こんな事件起こしているのですね。
しかし、
> 1978年に、彼がインタビューに答えたコメント
これはちょっとイヤ、かなり最低ですね。
いくら芸術頭だからってこのコメントは赦されません。
ちゃんと裁かれなきゃなりませんね。
ウーピー・ゴールドバーグも、コメントが冴えてて頭が良さそうなイメージあって好きな役者でしたが擁護にまわったそうでザンネンです。

『戦場のピアニスト』素晴らしい作品だそうですがまだ見てません。見るべきなのでしょうが。
2009/10/06(火) 06:11:34 | URL | jumpi #w7E8CPEA[ 編集]
詳しい情報が書かれていて大変参考になりました。ありがとうございます。
『戦場のピアニスト』の監督がこんな人だったなんて…
薬飲ませてソドミーなんて最悪です(←BL書いてる自分が言うなと思いますがっ)
どのような人であれ、公平に裁きが下されるべきだと思います。
2009/10/07(水) 03:53:52 | URL | tategoto910 #-[ 編集]
はじめまして。
「戦場のピアニスト」の監督がそんなことをしていたなんて全然知りませんでした・・・。
「戦場のピアニスト」気に入ってるだけに、すごくショックです。芸術と人間性の関係って・・・考えさせられます。
詳しい情報ありがとうございました。
2009/10/07(水) 06:19:12 | URL | はちだんご #-[ 編集]
フロリーさん、こんばんは
フロリーさんはポランスキー監督の映画が好きじゃなかったんですねー。
私は彼の作品はとても好きなので、本人の言葉が一番ショックでした…><
アカデミー賞を取った『戦場のピアニスト』はもちろん、『チャイナタウン』はあれ以上の映画を撮れる人って居るのか?って思いましたし、他にも素晴らしい映画が沢山あって、全てが名作っていうわけじゃないけど、彼の作品でどうしようもない駄作には今のところ一度も当たったとがないので、やっぱりクオリティの高い映画を撮れる人なんだと思います。
ご本人の辛い体験が名作を生んだのかと思っていたのに、こういうコメントを読んでしまうとものすごーーーーく騙されて気がして、もう何をどう考えたらいいか分からないって感じです;

>「彼は私にとって赤の他人よ。」
ほんと彼女のこのコメントを読むと、被害者が許すって言ってるんだから「大したこと」じゃなかったんでしょ、みたいな言い方は出来ませんよね。

>全然関係ないですが、昔はモンスターって、もっと多かったのかなと思います。
ポランスキー監督を擁護してるセレブのリストのトップにウッディ・アレンの名前がありますし、フロリーさんのおっしゃる通り、ひょっとしてみんな昔は似たようなことしてたり?って疑いたくなってしまいます!><;

>芸術家や、知識人がちょっと「特権的」なのは、みんな「芸術」や、「知性」(の倫理観)を信じたい
フランスの知識人の方が、「ポランスキー監督のような素晴らしい芸術家が犯罪者扱いされて刑務所に入れられるなんてあってはいけない。」みたいなコメントを出していたんですけど、そういう「特権的」な意識って未だにあるみたいです;

とにかくいやーーーーな事件ですよね。
ポランスキー監督に必要なのは刑務所より徹底したセラピーだろうとは思うんですけど、レイプの被害者、特に子供のことを思うと、こういう犯罪を犯す人間をきちんと裁かないわけにはいかないから、テキトーにうやむやにするのだけは止めて欲しいと思いました。
2009/10/08(木) 20:10:23 | URL | あけぼの #-[ 編集]
jumpiさん、こんばんは
やっぱり日本でもニュースになっているのですね…。
『赤い航路』は見たことないんですよ~。
“Bitter Moon”っていうんですね…今度観ようかなと思ったり、もう二度とこの監督の映画は見るものかと思ったり…あーあ;;
作品と作者は別って言われても、難しいですね;

> 1978年に、彼がインタビューに答えたコメント
ほんとご本人の言葉が何より最低で、これは典型的なレイプ犯の言いそうなことだと思いました。
アーティストだなんて言ったって、そんな知性のかけらも感じられません。

ウーピーさんは後で、「合意でも法律上はレイプになるレイプ」っていう起訴内容だったからそういう言い方をしたって説明してましたけど、やっぱりこういうコメントはレイプの被害にあった方が聞いたら物凄く無神経に聞こえますよね…。

『戦場のピアニスト』は好きな映画ですけど、こうなると素直にお勧めとは言えないかもですっ(泣)
2009/10/08(木) 20:10:58 | URL | あけぼの #-[ 編集]
tategotoさん、こんばんは
『戦場のピアニスト』のような作品と、この犯罪とが全く一致しません;
あんな映画を作れる人が、子供にこんなことするなんて信じられませんよね…。
おっしゃる通り、公正な裁判を受けてきちんと罪を償って欲しいです。

(BLはあくまで妄想で、どれだけ腐った妄想をしようと、現実の子供を傷つける化け物とは違う!と、ここで力説してみました^^;)
2009/10/08(木) 20:11:28 | URL | あけぼの #-[ 編集]
はじめまして
読むのが辛いことを書いてすみません。
私もすごくショックで、色んな記事を読んでるうちにドンドン頭に来て、つい怒りのあまり勢いで書いてしまいました;
未だにあの作品と作り手の人間性が、私の中でどうやっても結びつかないです;;
ただ、「このくらいのこと」は「芸術の価値」に比べたら取るに足りない、なんて軽く片付けて欲しくない。それだけは強く思いました。
2009/10/08(木) 20:11:56 | URL | あけぼの #-[ 編集]
ポランスキーって誰?っていうのが報道局側の意見であって、あまりニュースにはなってないような・・・。
日本ではそういった事件は少ないようで多いですからねぇ。
ノリピーの麻薬で検挙事件とかが騒がれていて。
あまりニュースは好きじゃないですが。ちなみに、日本では「レイプ」を「暴行」(よくて「性的暴行」)というので、まどろっこしいので嫌いです。特に、小児性愛者の性的事件では顕著ですから。

あと、ウーピーさんはわからないです。何言ってるのやら。
2009/10/11(日) 06:14:10 | URL | 茶栗鼠 #-[ 編集]
茶栗鼠さん、こんばんは
>ポランスキーって誰?
まずそこから始めないといけないとは…^^;
>日本では「レイプ」を「暴行」(よくて「性的暴行」)という
英語でもレイプと性的暴行(セクシュアルアサルト)両方使いますけど、
やっぱりレイプの方がはっきり定義されているから
レイプ犯罪の場合にはレイプという言葉で断罪するのが本当だと思いました。

ウーピーさん、こういう場合にふさわしいコメントとはとても言えません;
2009/10/12(月) 19:42:47 | URL | あけぼの #-[ 編集]
法律に裁かれるべきだと思います
ポランスキー氏はフランス、ポーランドとアメリカ合衆国総計三国の国籍を持つ人物なので、逮捕や引渡しをするには手間がかかる厄介な人物です。イスラエルの国籍を持ってもおかしくないような気がします。

私はポーランドの名監督クシシュトフ・キェシロフスキの作品に感銘を受けて、ポーランドに興味を持つようになりました。「トリコロール・シリーズ」、「ふたりのベロニカ」、「デカローグ」など人間の運命や哀れで切ない生き様を独特な視点で描いた彼の作品には心を打たれました。

ポランスキー監督は後ほど新聞で彼の存在を知りました。戦争で親を亡くしたのは彼だけではなく、他のユダヤ人、ドイツ人、ロシア人やポーランド人も同じ辛酸をなめてきました。

ユダヤ人でホロコーストの被害者であっても犯罪は犯罪で看過してはならないと思います。
2010/03/22(月) 01:49:53 | URL | 台湾人 #D9.4zkVk[ 編集]
台湾人さん、こんばんは
ポランスキー監督がまだポーランド国籍をお持ちだったとは知りませんでした。
本当に様々な体験を経てきた、本来なら素晴らしい芸術家として評価されるべき人なんですけど…。
犯した罪を認めて償うことが、ご本人のためでもあると思うんですけど、アメリカに戻ったらリンチに遭うとでも思ってるんでしょうか…なんとしてもアメリカでの裁判を避けたいようです…;

台湾人さん、ポーランド映画にもお詳しいですね!
私も「ふたりのベロニカ」は観ましたv
マリオネットのシーンがとっても印象に残っています。
主演の女優さんもとっても綺麗な方でしたよね。
この監督さんの映画、また観てみたいですvv
2010/03/23(火) 19:54:07 | URL | あけぼの #-[ 編集]
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