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A Very British Sex Scandal
2007年にイギリスでTV放映されたドキュメンタリー・ドラマ(docu-drama)。

“A Very British Sex Scandal”
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無理に訳せば、「とてもイギリス的セックス・スキャンダル」。

イギリスの悪名高いソドミー法(Buggery Act)が見直されるきっかけとなった、1954年に起きた実際の裁判のドラマ化で、当時を知るゲイの活動家の方々へのインタビューを交えて作られています。

それにしても、ソドミー法って400年以上前に成文化されていたんですねー。1533年に成立したって言うことは、ヘンリー8世の時代。

自分の奥さんを次々と 処刑した男が王様で、同性愛者は絞首刑って…。

同性愛への迫害っていうのは、大昔から常に偽善者によってなされてきた、っていうことですね。残念ながら、イギリスがその後世界中に領土を広げたため、この最低の法律が、世界中で成立することになってしまいました。

(><)

この法律によって悲惨な目に合った有名な人物が、詩人で小説家のオスカー・ワイルドですけど、今回のドキュメンタリーで語られる1954年の裁判は、そのオスカー・ワイルドの事件以来、最も有名なソドミー裁判って言われているそうです。

以下は、当時のイギリス社会の状況から。

1950年代のイギリスでは、毎年、何千という同性愛者の男性が逮捕されていました。そして「罪」を立証された場合、終身刑が宣告されることもありえたそうです。

このドキュメンタリーでは、警察がアパートのドアを蹴破って寝室に踏み込み、裸の男性二人を引き摺り出すシーンが映されています。「同性愛行為」っていうのは、自分の家でプライベートに行うことすら許されなかった、恐ろしい時代だったんですね…。

当時を知るゲイの活動家の方がインタビューに答えておっしゃってました。

「自殺した人を沢山知ってる。ゲイであることが本当に悲惨な時代だったから。」

そんな1952年の2月の夜、28歳の優秀な新聞記者、ピーター・ワイルドブラッド(↓左)が、ロンドンの地下鉄の駅で若い軍人(↓右)に声を掛けます。
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二人はそのままピーターのアパートに行き、一晩を一緒に過ごしました。

当時、ゲイ男性はアンダーグラウンドのクラブや映画館、公衆トイレなどで相手を探してたそうで、自分の家に相手を連れてくることは、恐ろしくてなかなか出来なかったし、ましてや名前を名乗り合うことはなかったそうです。

だけどピーターは別れ際、自分の名刺を相手に渡し、そんな彼に、相手の若い軍人もエディ・マクナリーと名乗ってくれたのでした。これがきっかけで、二人はエディがロンドンを訪れるたびに会うようになり、離れている間は手紙をやりとりするようになります。

そして運命の夏。

エディと彼の友人のジョニー・レイノルズを、ピーターは自分の友人の夏の別荘に招待しました。ピーターの友人とは、まだ25歳の若い貴族、ロード・モンタギュー3世↓
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4人は別荘でパーティーを開き、楽しい夏の週末を過ごして別れます。

ドキュメンタリーによれば、厳しい階級制度が守られていた当時のイギリスにあって、同性愛者はこの点でも迫害される対象だったそうです。

つまり、モンタギュー卿のような貴族の青年が、本来なら口を利くこともないような、エディやジョニーのような下層階級の若者と喜んで付き合う。これが社会秩序を乱す脅威である、とされたんだそうです。

(ちなみに前回書いた、『モーリス』で描かれている状況もまさにそれ。)

その後もピーターはエディと手紙のやり取りを続け、そのうちデイリーメール紙の重要なポジションである外交問題を扱うセクションを任されることになりました。冷戦の最中、政府が躍起になって同性愛者を暴きだし、政府の要職から追放していた時期、新聞記者として、ピーターの私生活にもスキャンダルが許されないことになります。

そして1953年、政府と警察の同性愛者に対する締め付けが厳しくなる中、格好の見せしめとして扱われたのが、貴族、新聞記者、軍人を巻き込んだソドミー裁判でした。

まずエディの上官が、ピーターからエディ宛の手紙を押収し、エディとジョニーの2人が軍警察によって逮捕されます。そしてジョニーの口からモンタギュー卿の名前が出たことで、事は一気に大きくなりました。

警察はエディとジョニーを脅して検察側の証人とし、ピーターとモンタギュー卿を起訴します。

ピーターは仕事でベルリンに飛ぶ前日、アパートに踏み込まれて逮捕。

令状も持たずに押し込んできた警察は、彼のアパートで、エディがピーターに宛てた手紙の数々を見つけます。エディには「手紙は全部焼き捨てるように。」って指示していたピーターですけど、二人とも相手の手紙を捨てられず、こっそり隠し持っていたのでした。

同時にモンタギュー卿は、ドーセットにある屋敷に踏み込んできた警察によって逮捕されます。朝の7時に屋敷の執事を押しのけて卿の寝室まで押し入った警察は、ベッドに寝ていたモンタギュー卿を引きずり出し署まで連行。

新聞記者には既に情報がリークされていて、新聞の見出しにはこの事件が大きく報道されました。

メディアの注目を浴びて裁判が始まると、震えながら「犯罪行為」を証言するジョニーに対して、モンタギュー卿は冷静にその証言の全てを否定。無実を主張します。

このドキュメンタリーで一番印象に残ったのが、その次のエディの証言とそれに対する反対尋問のシーンでした。

ピーターを愛していたから彼と「犯罪行為」をした。

そう証言するエディに向かって、ピーターの弁護士は、医者の鑑定ではエディは「犯罪行為」を常習的に行っていたし、他にも男がいたはずだって迫るんです。そして「今までに4人と経験がある。」って告白したエディに向かって、「君は変態だから、その罪を逃れようとしてピーターに対する嘘の告発をした。」って決め付ける。

薄汚い裁判の最中、涙ながらに自分への愛を告白するエディと、ピーターの弁護のためにその「愛情」を貶める弁護士。そのやり取りを複雑な表情で見詰めるピーターでしたが、証言台に立つと「罪」を免れるために、彼も嘘の証言を始めます。

「エディとは単なる友人だった。寂しかったから手紙を書いたけど、深い意味はない。彼が同性愛者だったなんて知らなかった。」

それなのにピーターは、検察官の最後の質問にNOと言えませんでした。

“Mr. Wildeblood, nothing during this trial has been brought against your character. You can hold your head up high. Are you a homosexual?”

「ワイルドブラッド氏、この裁判を通じて、あなたの人格の高潔さは証明されました。だからあなたは胸を張っておられるべきでしょう。では、そのあなたは同性愛者なのですか?」

長い沈黙の後、ピーターは遂にこの質問にYESと答えます。

NOと答えることさえ出来れば勝てる裁判だったのに、彼はそうしないことを選んだ…。

このピーターの証言によって彼らの有罪が確定し、モンタギュー卿には1年、ピーターには18ヶ月の実刑が宣告されました。

でも彼らを待っていたのは、「同性愛を犯罪とする法律は厳しすぎる。」という、思いがけず温かい世間の反応でした。

やがてその世間の声を受けてWolfenden Committeeという委員会が構成され、1957年には、

「大人が合意によってプライベートに行う同性愛行為を犯罪とすべきではない。」

というレポートが提出されます。刑務所から出たピーターも、同性愛者の代表として「法律を変えるべきだ。」と、委員会の前で堂々と証言しました。

そして10年後の1967年になって、434年続いたソドミー法がようやく廃止されるのです。

ピーター・ワイルドブラッドはTVのプロデューサーとなり、その後も1999年に亡くなるまで、ゲイの権利の拡張のために闘い続けたそうです。

ご存知のように、イギリスは2004年には同性間のシビル・ユニオンを合法化し、今ではLGBTの権利に関しては先進国の一つになりました。(少なくともアメリカより遥かに先進国;;)

でもその影には、沢山の方の努力と犠牲があったのですね。

モンタギュー卿は全ての「罪」を否定。2度結婚し、子供が3人いるそう。

エディとジョニーがその後どうなったかは分からない…。

下手糞な文章でゴチャゴチャ書いても分かりにくいですけど(汗)、このドキュメンタリーは、当時のイギリスでのこの裁判の影響が良く分かる大変良い番組でしたので、もしN○KとかW○W○W様で放送されましたら、是非ご覧になって下さい。

ていうか、こういう番組、アメリカでも日本でもきちんと放送して欲しいですv

つべが見つからなかったので、ホームページへのリンクを貼っておきます。英語ですけど(汗)、興味のある方はチェックしてみて下さいv

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コメント
この記事へのコメント
ひどいなあ・・・
人を愛することがなぜ罪になるのか。
ホントひどいですよね。
ピーターの、同性愛者かと尋ねられて、
処罰を受けると分かっていても「YES」と答えた
まっすぐな姿勢がすばらしい!
コレ字幕付きで日本でも放送してほしいなあ。
2009/02/02(月) 05:44:01 | URL | sunshine #khTh2OB6[ 編集]
こんばんは、sunshineさん
ほんとにおっしゃる通りだと思います!
誰かを愛することが「罪」であるはずがなにのに…。
私もこの方の勇気に感動しましたv
自分に誇りを持っていたからこそ出来たことですよねvv
>コレ字幕付きで日本でも
W○W○W様に期待しちゃいます~^▽^
2009/02/02(月) 20:45:06 | URL | あけぼの #-[ 編集]
とても
とても良い記事でした。ソドミー法というびっくりする様な法律、
名前は聞いていましたがこんなストーリーがあったんですね。
こういうった記事を書いて下さって、本当にありがとうございます。
2010/11/03(水) 09:39:50 | URL | bloom #-[ 編集]
bloomさん、はじめまして
私もオスカー・ワイルドの裁判に関しては知っていましたけど
まさかその法律が、こんなに長い間、厳しく施行されていたとは知りませんでした;
こういう風に長い長い間に固められてしまった偏見って中々消せませんよね…。
それに立ち向かわれた方の勇気にとても感動したので書いておきたかったのですが
こちらこそ最後まで読んで下さった上、お言葉を掛けて頂いて本当にありがとうございましたvv
2010/11/07(日) 20:03:17 | URL | あけぼの #-[ 編集]
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