アメリカの大手ゲイブログAfterEltonで選ばれた「最高のゲイ映画50」を1位から順にレビューしていく企画
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C.R.A.Z.Y.
2008年に「最高のゲイ映画」30位、2009年には37位に選ばれたのは、2005年公開のカナダ映画

“C.R.A.Z.Y.”
CRAZY

カナダ映画と言っても、ケベック地方が舞台なので、英語ではなくフランス語の映画です。

60年代から70年代のモントリオールに生まれ育った、ゲイの男の子の成長物語。

以下、ネタバレ注意!




主人公のザックは1960年の聖夜、5人兄弟の4番目に生まれます。

(ザック役のMarc-André Grondin↓15歳から20代までを違和感無く演じてて凄い!)
Marc Andre Grondin

「ずっとクリスマスが嫌いだった。」

そう回想するザック。一番の問題は、決して自分の欲しいプレゼントが貰えなかったこと。

6歳の誕生日には、お人形のためのベビーカーを欲しがったザックですが、父親は母親に向かって、

「息子をオカマにしたいのか?」

そう言って、別のプレゼントを押し付けます。

その夜、「オカマって何?」って母親に聞いたザックですが、本当は「オカマ」が何なのか子供心にも分かっていました。そして自分が「オカマ」にだけはなりたくない、っていうことも分かっていたんです。

なぜって、彼は父親が大好きだったから。

“友達の平凡で詰まらない父親と違って、僕の父は世界で一番だった。”

そう回想するザック。小学生のザックが友達にお父さんの自慢話をしてると、彼が車でザックを迎えにきます。

レイバンのサングラスをかけて咥えタバコのパパは、昔の映画のロバート・デ・ニーロみたい。
CRAZY1

車から降りたそのパパがふうってタバコの煙を輪っかにして吐くと、集まった子供達から歓声が上がります。

自慢のパパに飛びついていくザック。

この父親とザックの関係が、この映画を貫くテーマになっています。息子を愛してるんだけど、「オカマ」だけは受け容れられない父親と、自分がゲイだって本当は分かっているのに、それを否定し続けるしかない息子…。

15歳になったザックは、その年のクリスマスパーティーで、いとこの彼氏、ポールに「一目惚れ」します。と言っても、素直にそんな気持ちを認めた訳じゃないけど…。

その夜、車の中でザックはポールと初めて「ショットガン」をします。ショットガンって、この場合、相手に唇を近づけて、自分が逆向きに吸ってるマリファナの煙を、口移しに吸わせて上げること。傍から見ると、まるでキスしてるようにしか見えない♪

スペース・オデティを聞きながら、そのことを思い出すザック↓(ビジュアルが綺麗v)


Ground control to major tom
Your circuits dead, there’s something wrong
Can you hear me, major tom? (x3)
Can you....

地上よりトム大佐へ
回線が死んでる、何かおかしい。
聞こえますか、トム大佐?(リピートx3)
聞こえますか?

Can you hear me?

どうして良いか分からない、誰にも聞いて貰えないザックの気持ち。

自分に「迷い」が生じるたびに、ザックは自分を痛めつけます。

赤信号にバイクを突っ込んだり、凍りつくような吹雪の中を、家まで真っ白になって歩いたり。
CRAZY3

「これさえ乗り越えられれば、僕はきっと治るんだ。」

教会も神様も信じないザック。その彼が必死に祈ってるように見える…。

それから数年後、20歳になったザックには彼女が居て、DJの仕事も軌道に乗り、父親との関係も表面上は上手くいってます。でも自分を誤魔化して生きるザックは、常に皮肉な薄笑いを浮かべた嫌なキャラになっちゃっている。
CRAZY4

一番上の兄、クリスチャンの結婚式の当日、久し振りにポールと会ったザックは、披露宴を抜け出して車の中で彼と一緒にショットガンをします。でもそれを目撃したゲストに彼とキスしていたと勘違いされ、それを知った父親に責められます。

「お前は嘘ばっかり付いてる。男らしく一度くらい自分に正直になったらどうだ!」
「じゃあ何が知りたいって言うんだよ?俺がオカマで、変態で、アレをしゃぶるのが好きだってことかよ!」

父親に「消えろ。」って言われたザックは、イスラエルに飛びます。(ザックの母親は信心深いカトリック教徒で、エルサレムはキリスト教の聖地だから。)

そしてテル・アビブのゲイバーで出会った男と初めて寝るんです。でもその直後にまた罪悪感にかられてホテルから逃げ出し、一人で砂漠に行って死にかけちゃう。

結局ザックは奇跡的にベドウィンのおじさんに助けられて、やっと家に戻るんですけど、そこで彼を待っていたのは、兄、レイモンドの死でした。

ここには書いてませんけど、このザックと兄↓の関係がまた、愛憎が複雑に絡む、とっても良い関係でした。
CRAZY2

レイモンドのお葬式の後、ようやくザックを受け入れた父親。映画はその後のザックと父の関係、彼らの幸せな未来を思わせるシーンで終わります。


ゲイの男の子が主人公だから、「ゲイ映画」と言えば「ゲイ映画」なんですけど、監督さんがゲイじゃないせいか、いわゆる「ゲイ映画」っていう感じがしませんでした。

どう違うかって言われると説明が難しいんですけど、萌えシーンが一切ないっていうより…、恋愛要素が皆無だからかな?

主人公の男の子が悩むのは、好きな人に好きって言えない、っていうレベルの問題じゃなくて、それ以前の、本当の自分を受け入れられないっていう問題。

監督さんも、ゲイの男の子を主人公にしたのは、自己否定や疎外感、周囲から受け入れられない葛藤を描きたかったから、っておっしゃってます。

「これはゲイだからっていう問題じゃなくて、誰にでもありえることだ。現に自分がそうだったし、ケベックの住民は常にそういう気持ちを抱いてる。英語文化圏のカナダの中で、僕らはアウトサイダーだから。」

こちらにその監督さんのお話が載ってますので、英語がお分かりの方、是非読んでみて下さいv

重いテーマを扱ってますけど、説明臭くないテンポの良い編集で、ビジュアルと音楽で魅せてくれるこの映画。2時間を超える長い映画ですけど、そんな長さを全く感じません。

ちなみにタイトルの『クレイジー』の本当の意味は、映画のラストで明らかにされます。

Crazyじゃなくて、C.R.A.Z.Y.っていうタイトルの意味。

Christian, Raymond, Antoine, Zachary, Yvan
CRAZY5

この5人兄弟の名前が、画面にフッと現れて消える…。

他には何の説明もないけど、この映画は「ゲイ映画」っていうより、普通の家族の物語なんだって、さり気なく主張してるような気がします。

劇場用の予告編はこちら↓


すっごく良い映画で、ケベックでは商業的にも成功したらしいんですけど、日本では未公開っぽい?

この映画こそ、日本で一般公開しても受けると思うんだけどなー。

っていうか、これがリストの30位とか37位って、順位低過ぎ…><;


それと最後の最後にどうでも好い突っ込みをさせてもらえば(汗)、ザックのメイクはスペース・オデティ(↓左)じゃなくアラディン・セイン(↓右)…^^;
bowie_space oddity Aladdin Sane

ちなみに、この映画で一番お金が掛かったのが、そのスペース・オデティを始めとする、60年代から70年代にかけての、素晴らしい名曲の数々だそうです。でもその価値はありました~♪

Thank You God for Giving Us David Bowie!

(*^∇^*)

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コメント
この記事へのコメント
こんにちは (^^)
この映画は見てみたいですね!
自己否定や疎外感、周囲から受け入れられない葛藤がテーマの映画は、今の日本の若者に指示されると思います。主人公がゲイというのがテーマのための1つの要素なら普通の映画として見れるし、名曲も楽しめるし、普通にレンタルででてないかな~?また調べてみようと思います。

紹介してくれてありがとうございます(^▽^)
2010/04/27(火) 01:01:02 | URL | はちだんご #-[ 編集]
はちだんごさん、こんばんは
そうですね、例え日本で未公開としてもDVDがリリースされてるかもしれないですよねv
誰が見ても共感できる好い映画だと思うので、ぜひそうであって欲しいです☆
ほんと名曲の数々も良かったです~。
著作権の使用料に物凄くお金が掛かったらしいんですけど、その価値はありましたvv

こちらこそ、コメントありがとうございました!
もしレンタル出来るようなら、はちだんごさんの感想も宜しければお聞かせ下さい(^▽^)
2010/04/27(火) 20:23:55 | URL | あけぼの #-[ 編集]
@いろいろあっていい!
まったくもって同性愛の恋愛ドラマな
ものから、人間ドラマまでそろってきてくれて
”今ってめぐまれてるな”って思います。

ただ、面白がるだけじゃなく、
見方が色々あるんだ、描き方もいろいろあるんだってのが
知る機会ができてうれしいというのが
正直な気持ちです。

いつも、気になっていて中々足が進まないのですが、
「ゲイ&レズビアン映画祭」行ってみようかな?
映画が好きなゲイ友にナビゲートしてもらいながら。
2010/04/29(木) 05:12:45 | URL | すずら #0eKlHyVs[ 編集]
すずらさん、こんばんは
ほんと色んな映画が観られる、作られているのは嬉しいです☆

東京の映画祭は行ったことないんですけど
公開前の色んな映画が観られるみたいですので
もし行かれたら、ぜひ感想を聞かせて下さいv
2010/05/02(日) 19:24:11 | URL | あけぼの #-[ 編集]
この監督、ダラスバイヤーズクラブの人ですよね。
これもおもしろそうだなー
2014/02/25(火) 05:39:45 | URL | 山田 #9moh1.ck[ 編集]
山田さん、こんばんは
そうなんですか?!
ダラスバイヤーズクラブは面白そうだと思っていたんですけど、同じ監督さんとは知りませんでした!
この映画はほんとに良かったので、ダラスバイヤーズクラブもちゃんと見ます~~
教えていただいてありがとうございました!
2014/03/22(土) 15:50:48 | URL | あけぼの #-[ 編集]
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